2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

6.適正な取引の実現について
 近年、原材料費や人件費の上昇分を取引価格に十分に転嫁できず、立場の弱いとされる中小・小規模事業者や受託業者(下請け)に、しわ寄せが生じている実態があります。
 こうした状況は、民間取引に限らず、公共調達や委託事業においても例外ではなく、価格競争が優先されることや人材確保が困難となり、結果として入札不調となるなど、引いては公共サービスの質の低下にも繋がりかねません。
 この様な課題に対応するためには、発注者である県自らが、発注事業者を地域経済と公共サービスを支える対等なパートナーとして位置づけ、適正な価格転嫁や誠実な協議を行う姿勢を明確に示すべきと考えます。
 本県においては、パートナーシップ構築宣言の趣旨を踏まえ、企業に対して宣言への参加を促し、入札参加資格審査における加点措置などを通じて、取引適正化の取組を後押ししているところです。しかしながら、現在の制度は、あくまでも企業が発注者として宣言をおこなう仕組みであり、県自身が発注者として公共調達や委託事業における取引の在り方を宣言するものとなっていないと認識しています。
 一方で、新潟県においては、国が推進するパートナーシップ構築宣言の趣旨を踏まえつつ、県自らが公共調達において重点的に取り組む内容を明記した「新潟県パートナーシップ構築宣言」を公表し、発注者としての責任と役割を明確に示す取組が進められています。
 
①そこで知事に伺います。
 新潟県で行われているような、発注者である自治体自らが主体となって行うパートナーシップ構築宣言の考え方を公共調達や委託事業にも適用する先行事例について、知事はどう評価されているかお聞かせください。
 また、取引の適正化や価格転嫁の促進の観点から、民間企業に留めることなく、本県においても、パートナーシップ構築宣言を行うことで、本県の公共調達における価格転嫁を進めていくべきと考えますが、知事のご所見をお聞きします。

○まず、パートナーシップ構築宣言とは、サプライチェーンの中にある大企業と中小企業の共存共栄、チェーン全体の付加価値向上などを目指す国の取組であり、発注者側の企業の代表者が、労務費などのコスト上昇を踏まえた適切な価格転嫁に対応する旨を宣言するものとなる。
 
○自治体は、公共調達に際し、原則として一般競争入札を行うことが義務付けられていることなどから、宣言の対象外となっているが、公共調達における適切な価格転嫁は、地域経済に与える影響を踏まえると、大変重要だと認識している。
 
○昨年11月末には、全国知事会で47都道府県が一致団結して、公共調達における適切な価格転嫁の実現に向けた行動宣言を行ったところであり、県単独のパートナーシップ構築宣言を行うことは考えていない。なお、中小企業や小規模事業者における取引上の悩み相談を受け付けることになっている国の「取引かけこみ寺」において、県の公共調達に関する相談は、今年1月末時点でない。
 
○さらに、県では、契約面の具体的な取組として、適切な予定価格の設定や、実勢価格の変化に応じた契約金額変更の適切な実施などを今月10日に庁内全体に通知し、また、令和8年度当初予算においては、上昇傾向にある労務費などのコスト増加分を反映するなど、具体的な取組を進めているところである。今後も県自らが率先して取り組むことで、価格転嫁が、業種や規模を問わず、県内のあらゆる企業において適切に行われる機運を一層高め、地域経済の好循環の実現を目指してまいる。

 取引の適正化や公契約における労働条件の改善を実効性あるものにするためには、発注者である行政(自治体)、発注事業者、そして労働者それぞれの立場から課題や実態を共有し、合意形成を図る場が不可欠です。本県では公契約条例の制定について、2018年11月に労・使を交えた意見交換会が実施されましたが、その後、県の労働政策審議会の一議題として取り上げられたことはあるものの、公契約条例に特化した協議の場は服部県政に代わった現在においても開催されておらず、残念に思います。
 
②そこで知事にお伺いします。
 公契約条例に特化した労使の意見交換会が長きにわたって開かれていない理由をお聞かせください。
 また、公契約条例の課題や問題点を洗い出すためにも、公・労・使それぞれの声を直接聴く意見交換の場を改めて設ける必要があると考えますが、知事の見解をお聞かせください。

○公契約条例の制定に当たっては、賃金等の労働条件は労働者と使用者が自主的に決定するとの原則や、労働条件の最低基準を定めた最低賃金法や労働基準法との関係をどのように整理するかといった課題がある。
 また、公契約条例の制定等に関して意見を聴取するため、平成30年に、連合福岡、経営者協会、商工会議所連合会、中小企業団体中央会といった労使の団体に呼びかけて会議を開催したところ、各団体からは、

  • 県が法に基づく最低賃金を上回る基準を設けると、それが殊更強調されることにより経営者が無理な経営を強いられ、結果として労働条件の低下を招くこと
  • とりわけ建設業では、下請け、孫請けにまで「しわ寄せ」が生じることが懸念される

 といった意見があり、このような状況から、県としては、公契約条例の制定は難しいと考え、以後意見交換を行ってこなかった。
 
○令和6年に、物価高に伴い原材料費が高騰している状況を踏まえ、労働者の保護と公共サービスの質の確保の観点から、改めて、学識経験者を加えた公労使の委員で構成される労働政策審議会において、公契約条例について審議いただいた。
 審議会においては、先ほどの意見交換会で出された意見に加え、学識経験者からは、最低賃金法に基づき定められた最低賃金を上回る金額を条例で定めることは、憲法に抵触する懸念があるといった課題が示された。
 
○このように公契約条例の制定については様々な課題があるが、公契約条例を取り巻く状況については、引き続き注視する必要があることから、労働政策審議会の場を活用し、意見交換を行ってまいる。

7.本県におけるカスタマーハラスメント対策について
 国は、いわゆるカスハラ対策を位置づけた労働施策総合推進法の改正を2025年6月に公布し、本年10月1日からすべての事業主に対して、顧客等による著しい迷惑行為から労働者を守るための措置を講じることが義務化されます。この義務に違反した事業主は、公表あるいは法律に基づいて事実関係や関係資料の提出を求める報告徴求命令等の対象となるため、県内事業主の体制整備が急がれるところです。
 わが会派は一昨年6月議会の質問で、カスハラ対策における事業主への支援や、消費者への周知を求め、県としても、相談窓口の設置、福岡県在宅医療・介護職員カスハラ相談センターの開設、ポスター掲示による消費者への啓発活動などの取り組みがなされてきました。
 民間の取組みでは、フランチャイズ型のコンビニエンスストアで、各社が本部主導によりカスハラを抑止するポスターの店内掲示や、対応方針・マニュアルの整備を進め、全国一斉に統一的な対応が取られることで、従業員を守ると同時に「理不尽な要求は許されない」という社会的な共通認識が広がりつつあります。一方で、中小企業や小規模事業所では、対応基準やマニュアル整備が追い付かず、対応が従業員個人に委ねられているのが実情です。
 カスハラの中には、暴言や威迫、長時間拘束、業務妨害など、刑法に抵触する、あるいは、そのおそれのある行為も含まれます。しかし悪質な事案であっても、どの段階で警察に相談してよいのか分からないとの声も多く、被害の長期化や深刻化につながっています。
 本県は、全国に先駆けて県職員を守るためのカスハラ対策に取り組んできた実績があります。また、本県警察では、全国に先駆けて県民からの警察職員に対するカスハラ対策に取り組んでいることもあり、こうした知見を活かしながら民間で発生する悪質な事案に対し、どの段階で警察に相談すべきかといった的確な対応ができるものと期待するところです。
 更に、飯塚市をはじめ、市町村においても不当要求行為等への統一的対応を目的とした条例制定など、先行的な取組が進んでいます。一方で、市町村ごとに定義や判断基準、対応方法が異なれば、現場や県民に混乱を生じさせかねません。
 そこで、市町村の役割を尊重しつつ、国の示すカスハラ対策を踏まえて県が率先してガイドラインを作成し、市町村や県民に示していくべきと考えます。
 
①そこで知事に伺います。
 1点目に、カスハラの定義、判断基準、初期対応から組織的対応、警察等との連携までを整理し、民間でも行政でも参考にできる、事業主の取るべき基本的な措置をまとめた県内共通の分かりやすいガイドラインを、県が率先して作成すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○改正労働施策総合推進法が今年10月から施行され、事業主にカスタマーハラスメント防止のために講ずべき措置が義務付けられる。
 これに伴い、その内容等をまとめた指針が、昨日、策定された。
 
○この指針においては、職場におけるカスタマーハラスメントの定義及び判断基準のほか、事業主が雇用管理上、講ずべき措置として

  • 職場におけるカスタマーハラスメントに対する方針の明確化と従業員や顧客への周知
  • 従業員からの相談に適切に対応するために必要な体制の整備
  • カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

などが、具体例とともに示されている。
 
○県としては、この指針の内容について、福岡労働局と連携しながら、事業者向けセミナーや市町村の担当者を集めた会議等を活用し、広く周知を図ってまいる。こういったことから、現時点では県内共通のガイドラインを作成することは考えていない。

②2点目に伺います。
 国の法施行を本年10月に控える中、民間事業者のカスハラ対策について、対応マニュアルの整備、又は研修の実施に取り組んでいる事業所はどの程度あるのか、また県としてカスハラ対策が進むようどのような支援を行ってきたのかお教えください。
 併せて、県として10月の改正法施行を受け、国が求めるカスハラ対策を着実に実施できるよう、民間事業者がその業態に合わせ個別に定めるマニュアルの作成を支援していくべきと考えますが、知事の考えをお答えください。

○厚生労働省が一昨年度に実施した全国調査によると、カスタマーハラスメントへの対応に関し、具体的な対応手順等をまとめたマニュアルの作成又は研修を実施した事業主は、13.7%となっている。
 
○県では、事業主による、社内マニュアルの整備や従業員からの相談窓口の設置などのカスタマーハラスメント対策の導入が進むよう、社会保険労務士による相談支援を行っている。
 また、顧客への適切な対応や警察への通報手順等を具体的に説明した優良事例の動画を県のホームページに掲載するとともに、福岡労働局と共催する企業説明会で紹介している。
 今年度は、福岡県中小企業雇用環境改善支援センターにおいて、企業に求められるカスタマーハラスメント対策についてのセミナーを県内4地域で開催し、延べ98社にご参加いただいた。
 
○今年10月からは、事業主にカスタマーハラスメントの防止のために必要な措置を講じることが義務付けられることになる。
 県としては、この義務付けに伴い、マニュアルの作成など国の指針に示された対策に、事業主が適切に対応できるよう、引き続き、先ほど申し上げたセミナーや社会保険労務士派遣を活用し、助言を行ってまいる。