2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

4.公共交通の維持に係る施策について
 近年、福岡県における地域公共交通は、人口減少や少子高齢化の進行に加え、運転士不足、燃料価格の高騰など、複合的な要因により、県内各地で極めて厳しい状況に置かれています。鉄道、路線バス、BRTなど交通形態の違いはあれど、いずれも県民の日常生活を支える不可欠な社会インフラであり、その維持が困難となれば、地域そのものの持続可能性に直結する重大な課題です。
 しかし現状では、公共交通が依然として「採算性」を基準とした事業として扱われがちであり、都市部と地域間の交通格差は年々拡大しています。
 こうした県内公共交通の厳しさを象徴する例の一つが、筑豊地域を走る平成筑豊鉄道です。沿線人口や利用者の減少により、経営努力のみでの維持には限界があり、現在も県および沿線自治体の財政支援によって事業が継続されています。この状況は、特殊な問題ではなく、県内各地の鉄道や路線バスに共通する構造的課題であり、公共交通全体の将来像を考える上で重要な示唆を含んでいると考えます。
 
①そこで知事に伺います。
 県として、県内の鉄道や路線バスなどの公共交通を、県民生活を支える公的社会インフラとしてどのように位置づけ、将来にわたり維持・確保していく考えなのか、知事の基本的な認識をお尋ねします。

○交通は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤であることから、県では、「福岡県交通ビジョン2022」において、国、県、市町村、交通事業者などあらゆる関係者が協働し、交通施策を進めていくこととしている。
 
○とりわけ、鉄道や乗合バスなどの地域公共交通は、通勤、通学、通院、買物といった地域住民の皆様の日常生活や観光の際の移動手段として不可欠なものであり、経済活動を支え、観光振興を図る上でも重要なものであることから、将来にわたって維持・確保を図る必要があると認識している。
 
○このため、複数の市町村にまたがる広域的・幹線的なバス路線を運行する事業者やコミュニティバスを運行する市町村に対して、運行経費や車両購入費に対する助成を行っている。
 また、鉄道についても、国や市町村と連携し、鉄道事業者が行うレールや枕木の交換、信号保安設備の更新など、列車の安全な運行に必要な経費に対する助成を行っている。
 
○今後とも、こうした支援により、地域公共交通の維持・確保に努めてまいる。

 先に述べたように、公共交通の維持は、もはや個々の事業者や沿線自治体のみで担える段階を超えており、社会全体で支える仕組みへの転換が必要です。
 我が会派はその具体的方策の一つとして、公共交通の維持・確保に使途を限定した法定外目的税、いわゆる交通税の導入を提起してきました。我が会派としては、交通費に上乗せする形でなく、森林環境税のように県民全体から広く納める形で公共交通を支える交通税の導入を、他の自治体の動向を見ながらではなく、福岡県が率先して本格的に検討すべきと改めてお訴えいたします。
 
②そこで知事に伺います。
 地域公共交通維持・確保を目的とした交通税について、本県として具体的な研究を行ったり、導入の検討を進めたりする考えはないのか、知事の所見をお聞かせください。

○交通税の導入は、法定外目的税の新設であり、県民に新たな負担を求めるものである。
このため、
 ①どのような施策の目的を達成しようとしているのか
 ②必要な費用はどの程度か
 ③税以外に財源確保の方策はないのか
 ④受益と負担の観点から誰が負担すべきか
など、多岐にわたる課題を解決する必要があることから、新たな税の導入については、慎重に判断すべきものであると考えている。
 
○交通税の検討を進めている滋賀県では、昨年、令和8年度からの地域公共交通計画の素案に、地域交通の維持・確保にかかる安定的な財源として交通税の制度検討が盛り込まれたが、県議会の方から、「既存財源の検証が先である」といった意見が出されたほか、素案に対するパブリックコメントにおいても、反対や慎重な立場の意見が多かったと伺っている。
 
○地域公共交通の維持・確保は全国的な課題であることから、県では、これまで、国に対し、全国知事会や九州地方知事会等を通じて、地域公共交通の維持・確保に必要な予算の確保などを要望してきたところである。
 また、昨年2月には、県議会の皆様からも国に対し、「地域公共交通への支援の強化を求める意見書」を提出していただいた。
 
○引き続き、国に対し、必要な予算の確保について要望を行ってまいる。

5.本県における「ビッグデータ」の活用について
 知事は本年1月の新春インタビューでの新年度新規事業紹介において、「物流の効率化及び高速道路IC圏域の拡大に資する交通ビックデータの分析」について取り組むと表明されました。この表明を踏まえ、以下、質問します。
 
 2015年(平成27年)の『12月県議会』代表質問において、私が会派代表質問を行った際、「本県におけるビッグデータを活用した災害対策の必要性について」当時の小川知事を質しました。
 質問の趣旨としては、2005年3月20日の「福岡県西方沖地震」。そして、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」という大地震を受け、産学官が連携し、震災などの災害発生時の膨大な電子情報、すなわちビッグデータを活用し、これからの災害対策に生かしていくべきである。なお震災ビッグデータは火山の噴火や洪水などの自然災害にも役立て、そのことで多くの人々の命を救うことになり、それが今の時代にできる防災対策ではないかと主張しました。
 当時の小川知事は答弁で、「ソーシャル・ネットワーキング・サービスの情報など、いわゆるビッグデータにつきましては、さまざまな分野での利活用が期待されており、国では、ビッグデータの活用についての実証試験を行っている。県として、国のこうした実証結果や民間事業者等の検討状況というのを注視しながら、防災分野におけるビッグデータの活用方策について研究を進めてまいる」と答えられました。
 
①そこで知事に伺います。
 1点目に、本県の防災分野におけるビッグデータの活用について、この10年間の国や民間事業者の検討状況を踏まえ、本県の防災・減災対策にどのように活かしてきたのか、具体的にお答えください。

○国では、民間事業者等との実証研究を経て、地図や衛星画像上に、インフラや施設情報のほか、交通情報や被災情報等を重ねて表示・分析し、自治体等の迅速な災害対応を支援する「新総合防災情報システム」の運用を令和6年4月に開始した。
 県では、昨年10月の九州・山口各県との広域応援図上訓練などにおいて、このシステムを活用しているところである。
 
○また、県では、ビッグデータに最新のAI技術を組み合わせたシステムを導入し、防災・減災対策の強化を図ってまいった。
 具体的には、県民の皆様の避難支援や県の災害対応力の強化を図るため、令和元年に、大量のSNS投稿から、フェイク情報をAIが分析・排除した上で、災害現場の状況をリアルタイムで把握することができるシステム「スペクティ」を導入した。
 昨年度からは、災害時に被災情報や避難情報を県内の市町村や消防本部等と共有する県の防災情報ネットワークシステムと連携することで、市町村等においても利用可能とし、災害情報の迅速な収集を支援しているところである。
 
○さらに、今年度は、過去の被災データや気象情報をAIが分析し、土砂災害や河川氾濫等のリスクを15時間先まで予測することができるシステム「プレイン」を本格導入した。
 これを県の防災情報ネットワークシステムと連携することで、県内市町村の避難指示の発令や避難所開設の判断に活用できるようにし、頻発、激甚化する自然災害への迅速な初動対応の支援を強化しているところである。

 今回、服部知事は新たに「効率的な物流や企業誘致のための道路整備に向けた交通ビックデータ分析の本格化」を打ち出されたわけですが、10年前と比べ、IT技術の進歩は目覚ましいものがあります。
 ETCの次世代版として、2016年に本格導入された交通ビックデータの収集ができるETC2.0については、国がこのデータのオープン化に向けた課題や改善点を把握するための試行を行っています。今回のビックデータ分析は、この試行に採用されており、提供されたデータを十分に活用する必要があると考えています。
 
②そこで2点目に伺います。
 交通ビッグデータの分析について、どういった行程で進め、活用していかれるおつもりか、時期的な目標も含めてお聞かせください。

○近年、IT技術の進展により、ETC2.0車載器やカーナビから、車両の位置や走行速度、加速・減速の状況といった交通ビッグデータを継続的に収集し、これを詳細に分析することが可能となっている。
 
○県では、今年度から、効率的な物流や企業誘致を進めるため、県内を走行する「物流車両」に特化したデータを用いて、港湾や空港といった主要な物流拠点から頻繁に利用される経路を特定し、速度低下などの要因を分析している。
来年度には、物流拠点を県内全域に拡大し、分析を本格化することとしている。
 
○この分析結果に基づき、バイパス整備や交差点改良といった整備手法を検討した上で、順次、物流の効率化や更なる企業誘致のための戦略的な道路整備「Fukuokaスムーズコネクト」につなげてまいる。