2022年9月『9月県議会』一般質問
「いわゆる霊感商法に係る消費生活相談体制の強化について」

 質問の次の項目は、「いわゆる霊感商法に係る消費生活相談体制の強化について」です。
 
 2004年6月2日に公布・施行された『消費者基本法』では、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差」を認め、国や地方公共団体に消費者の権利の尊重とその自立の支援を求めています。
 
 「商品やサービスの契約で事業者とトラブルになった」、「製品を使ってけがをした」などの、消費生活に関する相談。また、消費生活に関する苦情相談、更には多重債務問題に関する相談を受け、その解決に向けた助言や情報提供などを行うのが「消費生活センター」です。
 
 そして、地方公共団体は「消費生活センター」や相談窓口を設置し、消費者被害の救済やくらしに役立つ情報提供、消費者教育・啓発などの行政サービスを行うとされており、本県では「福岡県消費生活センター」が福岡県吉塚合同庁舎内に設置されています。
 
 住まいの地域の「消費生活センター」に出向いたり、また消費者ホットライン「188」、“イヤヤ”に電話すると、消費生活相談員が、消費者が商品を購入したり、サービスを利用した際の販売方法・契約・品質・価格など、消費者と事業者間のトラブルに関し、トラブル解決のための助言、あっせん、情報提供などを行います。
 
 このように、日常の消費者の消費活動におけるトラブルにおいては、「消費生活センター」に相談するというコンセンサスができています。しかしながら、今回、質問の対象としている、いわゆる霊感商法については、通常の消費生活に係る相談事案と違い、どこに相談していいか判らないという話も多く聞きます。
 
 霊感商法や占いサイトをはじめとする、いわゆる開運商法については、販売員や霊能者と称する者が、人相、手相、氏名の字画などの占いと称して接近し、場合によっては、何人もよってたかって取り囲み、「先祖の霊がついている」「悪霊がとりついている」などと述べて相手を不安な心理状態に陥れ、それにつけ込んで、「購入すれば不幸から免れる」などとして、高額な壺や数珠、印鑑、仏具、神具、掛け軸、書籍などといったものを言葉巧みに購入させます。各家庭を訪問する場合もあれば、展示会と称して一か所に誘い込んで販売する場合もあります。
 
 最近は、「悩みごと相談」などと記載したパンフレットを新聞折り込みなどで広告し、相談者を集め、奇妙な雰囲気の部屋で祈祷師から「先祖のたたり」とか、「水子のたたり」などと「因縁(いんねん)」を説き、人を不安な気持ちにします。そして、それから救われるためには祈祷をする必要があるといって、法外な祈祷料を支払わせるなどの商法もあります。これは霊視商法と呼ばれています。
 
 いずれも、宗教や霊といった超自然的なものを利用し、人を心理的な不安に陥れ、商品を購入させたり、あるいは祈祷を受けないと、自分や自分の家族にいかなる不幸がおよぶか分からないと信じさせ、又は畏怖させるわけです。消費者は、相手の巧みな言動に誘導され、将来不安などを掻き立てられ、業者の言うまま高額な商品を購入させられてしまいます。
 
 霊感商法、開運商法、霊視商法とも、高額なお金を出させる点では、同じ手口と言えます。
 
 販売している商品が、『特定商取引法』の適用される政令指定商品で、訪問販売や街頭で呼び止めて営業所等に同行し、あるいは目的を告げず電話等で営業所等に呼び出したりするやり方であれば、同法によるクーリングオフができます。
 
 しかしながら、これら霊感商法は、巧みに仕組まれている場合が多く、一般に立証が困難で解決にも費用と時間がかかる場合が多いとされています。
 
 霊感商法に関し、「国民生活センター」や各自治体の「消費生活センター」に寄せられる相談は、毎年1,200件〜1,500件ほどといわれますが、霊感商法が「消費生活センター」に相談が寄せられるようになったのは1970年代後半からです。
 
 1980年代以降、国会でも社会問題として度々取り上げられ、日本政府も対策に乗り出します。その後、1993年、「福岡地裁」第1578号判決において、統一教会の使用者責任が初めて認定され、若干、下火になります。
 
 しかしながら、2005年ごろからテレビでスピリチュアル・カウンセラーの活動や女性週刊誌の特集記事や宣伝が活発になるにつれ、祈祷などに関する相談数が急増することになります。そして、こうした相談の急増を受け、2005年から2010年頃にかけ、警察による霊感商法の摘発が厳しくなっていきました。
 
 このような事から、不特定多数を狙った霊感商法による集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっていき、今日につながっていくわけです。
 
 今般、日本社会で問題になっている旧統一教会問題に関連し、再び、霊感商法、開運商法、霊視商法が注目されています。そこで、本県における、いわゆる霊感商法に係る消費生活相談体制の強化について、以下質問します。
 

Q1.1点目に、本県内における霊感商法に係る相談について、10年前と比較して件数はどうなっているのか。

 また、これらの相談について、「福岡県消費生活センター」と関係機関との連携状況はどのようになっているのかお聞きします。

  •  昨年度、県及び市町村の38か所の消費生活センターと消費相談窓口で受け付けました、いわゆる霊感商法に係る相談は67件ございました。10年前には154件ございましたので、約6割減少しておりますが、国が「『旧統一教会』問題関係省庁連絡会議」を設置いたしました先月以降は増加してきております。
  •  県の消費生活センターでは、子宝に恵まれると言われ高額な印鑑を購入した、あるいは、無料の手相占いのはずが、運気を上げるためと高額な装飾品を買わされた、といった不安をあおられ契約を締結する場合など、明らかに消費者契約法に反する行為につきましては、契約の取消しができることなどの助言を行っております。


Q2.2点目に、「福岡県消費生活センター」における消費生活相談員のスキル向上は極めて重要な課題です。消費生活相談員のスキル向上にどのように取り組んでいくのか、お示しください。

  •  県では、相談業務の基本となる消費生活関連の法令に加えまして、キャッシュレス決済の仕組みや、新型コロナ感染拡大の影響による消費者問題など、社会環境の変化に応じて必要となります、新たな知識・技能を習得するため、消費生活相談員全員が参加できるeラーニングによる研修を積極的に受講させております。
  •  旧統一教会の問題を機に、改めて注目されているいわゆる霊感商法につきまして、国では追加の研修を検討しているとのことです。研修の実施が決まりましたら、相談員を参加させ、専門性と資質の一層の向上に努めてまいります。

 
 今般、「旧統一教会」問題が再びクローズアップされたのを機に、「世界平和統一家庭連合」の関係者を名乗る人物が各地の「消費生活センター」や消費者相談窓口を訪問し、いわゆる霊感商法の被害相談者の名前や住所を聞き出そうとするケースが相次いでいるとの報道がなされ、消費者庁も調査に乗り出しています。

Q3.そこで3点目にお聞きします。 「福岡県消費生活相談センター」ならびに市町村の「消費生活相談センター」にこうした訪問の事実があったのか。あれば何件あったのかお答えください。 また、今後「旧統一教会」の問題に関する相談にどのように対応していくのか、併せてお聞きします。

  •  県及び市町村の38か所の消費生活センターと消費相談窓口を調査いたしましたところ、昨日までに、24か所で来訪があり、旧統一教会に関し、相談があった場合はその内容を教えてほしいと求められ、いずれも回答を断ったと伺っております。
  •  次に、旧統一教会に関する相談への対応についてですが、今年度、県の消費生活センターに寄せられた相談は、献金に伴う金銭トラブルなど消費者契約法では解決できないものであったため、全国霊感商法対策弁護士連絡会といった被害者救済活動で実績ある団体をご紹介しております。引き続き相談内容に応じ、こうした団体を紹介するとともに、現在、国において、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」が設置され、消費者契約法の運用状況、献金の法的性格などについて議論がなされておりますので、その動向を注視してまいります。