予算特別委員会「県営『大濠公園』の活用について」

2021年3月17日

 
 福岡市の中心地・中央区、その北側に位置する都心の中に「大濠公園」があります。国内はもちろんのこと、海外の観光パンフにも広く紹介され、海外からも年間多くの観光客が訪れる、まさに福岡県を代表する観光スポットです。
 
 そこで、本日はこの県営「大濠公園」の活用について質問します。
 
【質問1】
 まず初めに、この県営「大濠公園」の概要説明を、簡潔にお示し下さい。
 
〈答弁〉
○ 大濠公園の一帯は、もともと博多湾の入江にあった沼地であって、慶長年間に黒田長政が福岡城を築城する際に、外濠として利用された場所であります。昭和2年に開催された東亜勧業博覧会を機に、県が造園工事を行い、昭和4年に大濠公園として開園しました。
 総面積は39.8haであり、22.6haの池を有する全国有数の水景公園です。

○ 公園施設としましては、池を囲む約2kmの周遊道、野鳥の森、美術館、能楽堂、日本庭園、児童遊園、4つの橋で結ばれた中の島や浮見堂、ボートハウス等があり、多くの県民の皆さんが散策やジョギングをするなど、憩いの場として広く親しまれ利用されています。
 
 ちなみに、「大濠公園」の池に浮かぶ柳島から、池に突き出した格好で建っている「浮見堂」。この赤色に輝く「浮見堂」は、もともとは「福岡市動物園」にあったものです。
 
 「福岡市動物園」は1933(昭和8)年8月、ここ県庁が建っている「東公園」に開園されました。銅板葺きで六角形の「浮見堂」は正門から入ってすぐの所にある「オットセイ池」に建っていました。
 
 しかしながら、戦争の影響で1944(昭和19)年5月、わずか11年間の歴史で「福岡市動物園」は閉園を余儀なくされてしまいます。そして、飼育されていた動物は、空襲で檻が破壊されて動物が逃げ出し、市民を襲っては大変であるということで射殺されてしまいました。
 
 動物舎も取り壊されて撤去されてしまいましたが、この「浮見堂」だけはもったいないということで取り壊されずに残っていましたが、その後、県営「大濠公園」に移築されることになり、それ以来、「大濠公園」のシンボルとして来園者に親しまれています。
 
 そこで、次の質問に入る前に、あらかじめ理事会に提出資料としてお願いしています「大濠公園と博覧会」と、併せて、執行部に資料要求しています「大濠公園日本庭園の利用状況」について、委員会資料として配布を許可願いたいと思いますので、委員長のお取り計らいをお願いします。
 
〈資料配布〉
 まず、私の提出資料「大濠公園と博覧会」資料について、簡略に説明したいと思います。
 
 「大濠公園」では、過去4回、『博覧会』が開催されています。

 1回目は、1927(昭和2)年の『東亜勧業博覧会』です。3月25日〜5月23日までの60日間でした。当時の福岡市の人口が約15万人の時代に、来館者数は160万3,472人というから、いかに賑わったかがよくわかります。
 
 2回目は『福岡大博覧会』として、1966(昭和41)年、「西日本新聞社」主催で開催されました。このときの会場は、前回の『東亜勧業博覧会』とは反対側の「大濠公園」の東側でした。
 
 そして、3回目は、1975(昭和50)年3月15日〜5月27日、山陽新幹線が博多駅まで延伸されたことを記念して『福岡大博覧会開催』が開催されました。入場者は214万3,000人でした。
 
 4回目は、1982(昭和57)年3月に開催された『ふくおか'82大博覧会』です。3月15日から5月27日まで約2ヶ月の開催となり、約100社の企業が参加、九州で開催された博覧会の中では過去最大規模の盛り上がりをみせたそうです。開催期間に約136万人もの人が訪れたそうです。
 
 さて、「大濠公園」には、南側には「日本庭園」があり、北側には「能楽堂」という、いずれも国内外に誇れる施設があります。
 
 しかし、残念ながら、日常的に「大濠公園」を利用する方ですら、「日本庭園に入ったことがない。能楽堂にも入ったことがない。」という声をよく聞きます。とりわけ「能楽堂」については、能楽や狂言の公演に行かれた方以外にとっては、傍目、見た目には中の様子は全く分からず、何の施設だろう、中はどうなっているのだろうと思われています。
 
 そこで、「国際会議」、学会などで福岡県内、とりわけ福岡市内に来られる来訪者に、是非「大濠公園」にも足を延ばしてほしい。そして、隣接する「日本庭園」で茶会や写真撮影会を楽しまれたり、「能楽堂」で能や狂言などの日本文化に触れて頂き、福岡の魅力を再発見、再認識、堪能して頂くことも必要だと思います。
 
【質問2】
 そこで、「大濠公園」「日本庭園」「能楽堂」をセットにして紹介して頂けるようなパンフレットを、PRを旅行会社、旅行代理店などにお願いする働きかけるべきだと思います。
 このようなセールス、アプローチについて、執行部の考えをお聞かせください。
 
〈答弁〉
○ 県では、日本庭園や能楽堂も掲載した大濠公園のパンフレットを、福岡市観光案内所、アクロス福岡情報プラザ、福岡市内の主なホテルなどに配布し、情報の発信を行っているところです。
 
○ また、九州観光推進機構が、毎年、旅行会社等を対象として、九州各県の観光資源の情報を提供するため「九州素材説明会」を実施しており、今後、あらためてパンフレットの配布を行うなど、大濠公園の魅力をPRしてまいりたいと考えております。
 
【質問3】
 先程も少し述べましたが、福岡市内では大きな国際会議が開かれたり、各種学会などで多くの方々が福岡にお越しになられています。
 
 そこでお聞きします。国際会議、学会などが福岡県内で開催されるとき、主催者に対し、「大濠公園」「日本庭園」へ足を延ばして頂くよう、県からの働きかけを行っているのか、お聞きします。
 
〈答弁〉
○ 当部では、これまで県内での国際会議、学会等の開催に当たり、その主催者に対し、大濠公園や日本庭園のPRを働きかけたことはありません。
 
 
 働きかけがないという事です。大変残念な事です。今後、私の方からも県庁内の関係部署に働きかけていきたいと思います。
 
 さて、次の質問に移ります。
 「県営大濠公園」の東隣には、福岡市が管理する「舞鶴公園」があります。今年も桜が咲く季節となっていますが、毎年、大変多くの市民が花見に来られています。
 
 そこでよく目にするのが、満開の桜の下で結婚式の写真の前撮りです。大変ほほえましい限りです。
 
 舞鶴公園の桜も有名ですが、「大濠公園」の南側にある「日本庭園」も、ここも写真撮りには最高のスポットと言えます。四季折々の花が咲き、手入れの行き届いた日本庭園は、落ち着いた雰囲気でゆっくり眺めて頂ける場所です。
 
 そこで、先ほど、執行部から配布して頂いた「日本庭園の利用状況並びに来園者数と写真撮りについて」ですが、その資料を基に、いまから質問させて頂きます。
 
【質問4】
 まず、この資料について、簡潔にご説明頂くとともに、合わせて、ブライダル会社等に対し、写真撮影等のPRを行い、「日本庭園」の更なる活用を図るべきだと考えます。
 説明と、お答えをお願いします。
 
〈答弁〉
○ この資料は、日本庭園の利用状況を示したものです。
 まず、直近10年の来園者数の推移について、日本人と外国人の割合も分かるように掲載しております。
 来園者数は、平成23年度から概ね増加を続けておりましたが、令和2年度の来園者数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、今年2月末までで約2万9千人と、前年度の約43%となっております。
 
○ 次に、日本庭園における写真撮影件数についてですが、直近5年分を掲載しております。
 日本庭園においては、結婚式の前撮りなどの撮影が毎年度500件以上行われており、今年度も例年どおり利用していただいております。
 
○ このような撮影は、利用された方からご好評をいただいており、日本庭園の魅力の情報発信に繋がることから、今後も、公園のホームページに写真撮影のご案内、日本庭園の見どころなどを掲載して、PRを続けてまいります。
 
 
 これまで質疑応答してきましたが、「大濠公園」の活用と言っても、所管の部署がいくつかに分かれています。「大濠公園」と「日本庭園」は建築都市部公園街路課、「能楽堂」は人づくり・県民生活部の文化振興課。
 
 更に、現在、新県立美術館の建設が進められており、建設地は「大濠公園南側にある福岡武道館及び日本庭園の一部を再整備した用地」に決定しましたが、新県立美術館の建設の担当部署である対策室は人づくり・県民生活部になります。
 
 更に、現在、福岡県と福岡市が進めている「セントラルパーク構想」ですが、これは本県の「福岡県総合計画」という上位計画に基づき、この「セントラルパーク構想」が策定されたわけですが、「福岡県総合計画」の所管は企画・地域振興部の総合政策課です。しかし、具体的に「セントラルパーク基本計画」の策定などは公園街路課が所管となります。
 
 このように、「大濠公園」の一体的活用といっても、縦割り行政のなか、それぞれ部も違う、担当の課も分かれている、窓口も違うというのが現状です。
 
 「大濠公園」、「日本庭園」、「能楽堂」、「新・県立美術館」、そして「セントラルパーク構想」と、一口に「大濠公園」の活用と言っても、先ほども述べたように、縦割り行政で、部・課・室が分かれています。

【部長の決意】
 そこで、最後に、部長にお聞きします。
 本県には、「福岡県観光推進町内協議会」がありますが、そういった場を活用して県庁横断的に「大濠公園」の一層の活用が図られるよう呼びかけをして頂きたいと思いますが、
部長の決意をお聞きしたいと思います。
 
<部長答弁>
○ 本県には、9つの県営都市公園があり、県民がくつろぐことができ、まちの魅力を高め、観光客にも楽しんでもらえるような公園づくりを進めてまいりました。
 
○ 大濠公園は、交通の便利な福岡市内にあって、豊かな水辺と緑に恵まれ、美術館や能楽堂、日本庭園など、県民が芸術文化に触れることができる公園であります。さらに多くの県民の皆さんに親しまれ、これらの施設が十分に活用されるようにすることは重要であると考えております。
 
○ このため、委員のご意見にもありましたように、例えば「福岡県観光推進庁内協議会」などの場を通じて、なお一層、大濠公園の活用が図られるよう呼びかけてまいりたいと考えております。
 
 
 部長は3月で退職されますから、新しい部長にしっかり引き継いで頂く事を要望申し上げ、質問を終わります。